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愚王と魔法使い (仮) 7.2
隣で同じ世界を見ていた。
違いはたった一つ。
その足一歩分の差。
その分だけ、世界がずれていた。
そのままの差で、共に歩むはずだった。


林檎の印がくたびれて鈍く光る。
剣をその手にしながら、魔法使いは
木にもたれかかって寝息をたてるクラヴィスとシレークスに目をやる。


強い魔法だった。
空が割れるほどの、魔法。
そんなことができるのはあの林檎を齧った彼女だけ。
ぼんやりと焚火が揺れる。


  (私は君の思い通りにはならない)

同じ髪型をした黒髪の女が頭の中で笑う。
かつて自分にそう言った女は今はここにいない。
あの日、自分が林檎を差し出した相手は。

魔法使いは目を閉じた。
王家の証しであるこの剣の持ち主は夢の中。
自分を殺すといった女と、神さまを殺すといった少年が肩を寄せて寝ている。


この決められた道を、魔法使いが進む。
誰かの言うとおりにまっすぐ。
そうしなければたどり着けない城で、神さまはずっとその来訪を待っている。

すりおろした林檎を、その杯に掲げて。

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アメブロ初出。October 14, 2014
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